2018年の映画【ロビン・フッド】の新しい感覚についていけるかはアナタ次第

ロビン・フッドの物語を21世紀のビデオゲーム風に解釈するとこうなるのか、という見本のような映画です。テンポが速くて爆音が(もちろんドルビーですから)劇場に響き渡り、ロビン・フッドはフードつきのキルティングジャケットで走り回って、中世の物語というより自由な想像の世界になっています。

製作国:アメリカ
公開:2018年11月(日本公開:未定)
製作:レオナルド・ディカプリオ他
監督:オットー・バサースト
キャスト:タロン・エガートン、ジェイミー・フォックス、イヴ・ヒューソン、ベン・メンデルソーン

今度のロビン・フッドは高校生ぐらいの年齢設定なのだろうか…

今までわたしが観たロビン・フッド映画というと、ケビン・コスナーだったり、ショーン・コネリーだったりラッセル・クロウだったりして、皆第三次十字軍に参加して何年も戦ってきたロックスリー公なので、若々しいけれど(あ、ショーン・コネリーは違いますよ、あれは年取ってからのロビン・フッドでしたから)重厚さが少々増しているお年でした。

ところが今回はタロン・エガートン演じる「もう若くて若くて撮影の合間には絶対ケータイをいじってゲームしてるんじゃないかと思うような男の子」なのです。いや、彼が若すぎるというのではなく、そういう役の設定なのです。

だから、正義感が強くてノッティンガムの悪行にムカついても悔しくても、どうしたらいいかわかりません。そんなとき、ロビン・フッドに借りがあるためついてきたムーア人のジョンは「アウトローのロビン・フッドになって悪代官の金を盗んでやれ、弓矢なら教えてやるぞ」と諭し、スターウォーズのヨーダのごとくライトセーバーならぬ超人的な弓矢の使い方を教え始めます。
この場面は楽しかったです。できるわけねーだろ、という弓の飛び方がとんでもなくおもしろかったので。

で、次に「誰も助けてくれないしー、ノッティンガムの軍隊は強すぎるしー」と泣き言を言うロビンに、マリアンが「そんなことでどうするのよっ、市民たちにはあなたが頼りなのよっ」と諭され、そうだ僕ちゃんは市民を率いて戦うんだ、と乗り気になり、自分の正体をついに市民たちに明かして「戦おう!」と演説します。

まるでお父さんとお母さんに説教されてやっと宿題をする気になる高校生のようで、なんだかロビン・フッドの物語にフィットしていないような気がしてきました。

それにこの衣装設定がどうも鼻につきます。フード付きキルティングジャケットにライダーブーツで決めていますが、使う武器はピストルやマシンガンではなく弓矢ですか。マリアンもそこらへんにいる女の子のような衣装で、どうも中世の美女とは言い難いです。古風な美しさを持つイヴ・ヒューソンですから、もう少し衣装でも彼女の中世の魅力を引き出してほしかったです。また、悪代官サマのノッティンガムはなんとグレイの皮スーツ姿で、まるでスターウォーズから抜け出したような未来のスーツでしたが、そう言えばベン・メンデルソーンはあのスターウォーズの番外編「ローグ・ワン」にも出演していましたね。

ただし、CGを駆使した戦いの場面は手に汗を握りますし、中世のオドロオドロしい暗い雰囲気の街並みも細部に至るまで再現されていて感心しました。楽しめますよ。

悪代官サマには悪の権化みたいな存在感がほしかった

タロン・エガートンは若々しい色気と茶目っ気が混在していて、やはり目立つ新進俳優のひとりだと思います。キングスメンで脚光を浴びましたが、あのときのロンドン下町コクニー訛りが上手くててっきりロンドン出身かと思っていましたが、なんとウェールズ出身でした。さすがですね。お相手のマリオン役イヴ・ヒューソンとも息の合ったコンビで好感が持てます。

そして、ノッティンガム代官のベン・メンデルソーンですが、冷たい悪役としては可もなし不可もなし。凄みがあまりなくて物足りない思いをしました。やはりこういう典型的な悪役というものは、オーバー過ぎるぐらいのワルモノ感と凄みと「あんまり悪すぎて返って滑稽」ぐらいの存在感が欲しいところです。

悪役のノッティンガムと言えば、やはり1991年の「ロビン・フッド」の故アラン・リックマンですね。悪の権化の凄みに加えてコミカルな味まで出していて、完全にケビン・コスナーを食ってしまったのを覚えています。あの嫌らしい舌を引きずるような発音、眉一つ動かさずひとを殺す冷たい眼差し。ところが、いいところで(つまりマリオンを手っ取り早く犯して婚姻の証拠を残そうとしていたときに)ジャマしにきたロビン・フッドへの「てーめー、よくも肝心なところで来やがったな」という天を仰いで悔しがる顔がコミカルでなくてなんだと言うのでしょう。アメリカ発音そのまんまのケビン・コスナーはとにかくかっこよかったです(あのころは絶頂期ですから)が、それにも増してアラン・リックマンの存在感と熟練演技が光り輝いていました。

おっと、あまりにも1991年のほうがまさっているので、つい力が入ってしまいました。スミマセン。機会があれば、1991年のロビン・フッドも観てくださいね。

この2018年版「ロビン・フッド」のチマタの噂によると(というより、映画の最後のほうを観た限りでは)どうも続編を企画しているようですが、本当に実現するのだろうかとちょっと心配になります。日本ではまだ公開未定ですが、日本でもファンが増加中のタロン・エガートンのアクションは見て損はないので、もしかしたら2019年には公開のめどがたつかもしれません。期待しましょう。

 

オススメ度
★★★☆☆
今回は少々辛口感想になってしまいましたが、それでもこれはタロン・エガートンのファンとビデオゲームのファンと新しい感覚の「ロビン・フッド」を期待するひとたちにオススメの映画。アクションシーンは悪くないです、ホント。

 

ABOUTこの記事をかいた人

オーストラリア某私立高校日本語・フランス語教師、休暇はほとんどタイの首都滞在。英・独(スイス訛りあり)・仏の多国語遣いですが、一番得意なのはもちろん日本語。ツイートとブログと料理と映画でストレス解消中。映画は基本的に独りで観るのが好きです。映画鑑賞の記録はコチラから。